2019年6月にふるさと納税制度が新制度になりました。
返礼品の問題もありましたが、皆さんはふるさと納税について理解できていますか?
>>【参考】「ふるさと納税」の新制度、43市町村は4カ月に限る
新制度によって、自治体による過度な返礼品は期待できなくなりますが
依然として、ふるさと納税は魅力たっぷりです。
「え、そもそも新制度になっていたことすら知らなかった」
「今更だけど、ふるさと納税って何なの。。」
「ふるさと納税のメリットや、オススメの返礼品を知りたい」
今回は、こんな方に向けて、ふるさと納税について解説していきます。
ふるさと納税とは
まずは、全く知らない方に向けて、言葉の解説からしていきます。
すでに知っている方は、読み飛ばして問題ありません。
「ふるさと納税」の解説
ふるさと納税という言葉だけ見ると、
「ふるさとに納税できる制度」というように思えますね。
しかし、そう理解してしまうのは、正しくありません。
結論から言えば、ふるさと納税とは「好きな自治体に寄付ができる制度」です。
正しく理解するために、「ふるさと」と「納税」という言葉に分けて考えてみましょう。
「ふるさと」について
見方によっては、自分の故郷だけにしか納税できないかとも思えてしまいますが
そんなことはなく、好きな自治体に納税することができます。
自治体というのは、○○市や××村といった団体のことですね。
自分で納税したい自治体を、自分で選ぶことができます。
「納税」について
こちらも誤解しやすい言葉です。
厳密には納税ではなく、「寄付」です。
「寄付」した後に、自分の本来支払うはずだった所得税と住民税が減るために、
実質的には納税したように捉えることができるわけです。
まとめると、
ふるさと納税とは、自分の故郷だけに納税できる制度ではなく、
自分が選んだ好きな自治体に寄付を行い、
自分が本来納めるべき税金額が減る制度です。
寄付したら寄付した分だけ、支払う税金を減らして欲しいものですが、2,000円分は自己負担となります。1万円分のふるさと納税を行った場合、1万円から2,000円を引いた8,000円分の控除を受けることができます。
(控除については、後ほど解説!)
ふるさと納税の目的
もう少し深く理解したい人に向けて、
ふるさと納税という制度の目的についても触れておきます。
総務省のサイトの言葉を引用します。
地方で生まれ育ち都会に出てきた方には、
誰でもふるさとへ恩返ししたい想いがあるのではないでしょうか。
育ててくれた、支えてくれた、一人前にしてくれた、ふるさとへ。
(中略)
そのような想いのもと、「ふるさと納税」は導入されました。
>>【参考】ふるさと納税の理念
ふるさと納税をする我々の側からすれば上記のような目的があるわけです。
では、寄付される側、つまり自治体側からすると、どうでしょうか。
所得税や住民税は、住んでいるところ(住所地)に納付しなくてはなりません。
都会に住んでいる人は、都会に。地方に住んでいる人は、地方に、といった具合です。
成人して働くとなれば、都会に引っ越す方が多いでしょう。
そうなると、税金の納付先となるのは、都会であることが多くなってしまいますね。
都会の自治体にとっては、税収が増えて嬉しい限りですが、地方の自治体にとっては、税収が減ってしまいます。自治体側からすれば、このような税収の差を埋める目的で導入された制度ということですね。
納税できる限度額・控除について
※総務省(ふるさと納税ポータルサイト)から抜粋
以下の計算で、所得税と住民税の控除額がわかります。
所得税の控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
住民税の控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10%
住民税の控除(特例分) = (ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
>>【参考】所得税の税率を知りたい方はコチラから(総務省サイトへ移動)
「控除」という言葉が何度か登場していますが、
「本来支払う金額から一定の金額分、安くなること」と理解すれば問題ありません。
「所得税が、いつもより安くなるんだー」という理解で良いでしょう。
ふるさと納税によって所得税も住民税も安くなるわけですが、
ここで気になるのは、「じゃあ、どのくらい安くなるのか」ということです。
安くなるといっても、ふるさと納税をした分が全て上限なく安くなるわけではありません。
例えば、税金を毎年5万円支払っている人は、最大で5万円分までしか控除できる可能性がないため、仮に7万円のふるさと納税を行った場合でも、安くなるのは5万円分のみで、残りの2万円は自己負担となります。これだと困りますよね。
自己負担が最小の2,000円で収まるように、自分に合った適切な寄付額=限度額を把握しておきましょう。
限度額のシミュレーションは、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で簡単にできましたので、参考にしてみてください。
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税について概要がつかめたところで、次にメリットについて解説します。
寄付する人にとっては以下のようなメリットがあります。
所得税・住民税の控除が受けられる
これは、前の部分で記載したとおりですね。
控除といっても、本来支払う税金分を、代わりに別の自治体に寄付という形で支払うものとなります。(なのであなたの財布から、お金が出ていくことには変わりありません)
詳しく言うと、所得税は「還付」という形で控除されます。
少しややこしいですね。
まず「控除」とは、本来支払う金額が安くなることだと説明しました。
次に「還付」とは、もとに戻ってくることを意味します。
したがって、「還付」という形で控除されるということは、
お金がもとに戻ってくるという形で、本来支払う金額が安くなることを示します。
例えば、所得税で1,000円の控除を受けられる状態であれば、こういう流れとなります。
寄付を行う
→1,000円の所得税を先に払う
→後になって1,000円をもらえる
一方、住民税の場合は、こういう流れです。
寄付を行う
→1,000円が引かれた金額の住民税を払う
どちらも1,000円分は、支払う税金が安くなっていますが
還付であるのと、そうではないのとでは微妙に異なることがわかりますね。
返礼品として、特産品がもらえる
寄付したお礼として、自治体からお肉やお米などの返礼品を受け取ることができます。
ふるさと納税をしなければ、知る機会のなかった地域の特産品を楽しめます。
毎年、同じものを選ぶ必要もないので、年ごとに返礼品を変えることも可能。
食べ物以外に、チケットや美容品、工芸品を返礼品とする自治体も存在しています。
探してみるだけでも楽しめますので、ぜひ色々な品をチェックしてみてください。
寄付する金額を決められる
限度額は決まっていますが、その範囲内であれば寄付する金額は自分で決めることができます。途中で面倒になってしまい、ふるさと納税をしない年があったとしてもペナルティ等は当然ありませんので安心です。
また、ひとつの団体にすべて寄付しなければいけないということもありません。
複数の団体に対して、自分に合った寄付額の寄付を行うことができます。
寄付したお金の用途を決められる
通常、寄付というと、寄付したお金が何に使われるか不透明であるというデメリットがあります。しかし、ふるさと納税では、寄付したお金を何に使うか指定することができます。
その地域ならではのイベントや、まちづくり、施設の整備など自分自身が貢献したいと思えるような活動に対して寄付を行えます。
自分のお金がだれかの役に立ち、お礼の品まで受け取ることができるわけです。
お金の使い方として、これほど素敵な使い方はないと言ってもいいかもしれませんね。
クレジットカード決済できる
自治体によってはクレジットカードでの決済が可能であるため、ポイントを貯めることができるなどのメリットもあります。
キャンペーンによってポイント還元率をあがる場合もありますので、ふるさと納税をするなら、クレジットカードでの決済をオススメします!
ふるさと納税をした場合に限り、もらえるポイントが増えるサイト・クレジットカードなども存在するようです。
各自治体にとっても以下のようなメリットがあります。
・税収を確保できる
・特産品・地域のPRができる
・観光の誘致につながる
ふるさと納税のデメリット
デメリットについて解説します。
寄付する人にとっては以下のようなデメリットがあります。
お金がかかる、控除枠を超えてしまう場合がある
まず、2,000円は自己負担であるという点がデメリットとなります。
また、控除可能な限度額を超えた場合に、「ふるさと納税できないよ」と誰かが教えてくれるわけでもありません。
そのため、後になって、「控除できる分を越えてしまった!」ということもあり得ます。
ほとんどの方が、返礼品をお得にもらえることを目的にしているかと思いますので、多めにふるさと納税してしまう可能性には、十分に注意してなくてはなりません。
自分の限度額は、自分自身で把握しておきましょう。
一時的に家計が苦しくなる
ふるさと納税をまず先に、寄付する側がお金を支払います。
要は前払いということですね。
ふるさと納税は、1年中行うことができますが、ふるさと納税を行うと、自治体から証明として受領証明書が郵送されます。控除されるのは、受領証明書に記載されている受領日(入金日)が、その年の12月31日までの納税分のみです。
では、控除されるタイミングはいつでしょうか。
住民税
ふるさと納税を行った翌年の6月以降に控除が行われます。
会社員の方は、翌年の6月頃に会社で取得することができる住民税決定通知書によって、いくら控除されたかを見ることができます。
所得税
確定申告を行った場合、およそ1カ月から2カ月経ってから、指定口座に還付金が振り込まれます。
いつ還付されるのか、いくら還付されるかについては、申告後に郵送される「国税還付金振込通知書」によって確認することができます。
手続きが必要であり、手間がかかる
以下のような流れでふるさと納税を行います。
寄付する先を自分で選ぶ
→寄付の申請を行う
→返礼品・受領証明書を受け取る
→確定申告を行う
(ワンストップ特例制度の場合には、関連の手続きを行う)
選ぶことや受け取りは、そこまで面倒ではありませんが、申請フォームに必要情報を記入したり、その後の確定申告の手続きは手間といえるでしょう。
【ワンストップ特例制度とは】
確定申告を行わなくても、控除を受けることができる制度のことです。
5自治体以内であればワンストップ特例制度を利用することができます。
なお、確定申告をする場合には、ワンストップ特例制度を利用できません。
また、この制度を使用すると、所得税の控除を受けることができません。
節税にはならない
「ふるさと納税は節税になる」と言われますが、これは全くの誤解です。
気を付けてください。
本来払う税金分の寄付を行い、その分が安くなるわけですので、手元から出ていく金額に変わりはありません。
1万円払えば、1万円分は控除が受けられるわけですが、先に支払い(寄付)があるのでお金が出ていくという観点では変わりませんよね。
なお、各自治体にとっては、以下のようなデメリットがあります。
・住民が他の自治体に寄附してしまうリスク
・制度の導入に手間がかかる
・自治体にある役所の職員の負担が増える
オススメの返礼品
ふるさと納税をしたお礼としてもらうことができる返礼品について、個人的なオススメを取り上げてみます。ぜひ参考にしてみてください。
お肉
王道ですね。
普段は買わない高級なお肉でも、ふるさと納税なら気軽にゲットできます。
また、家庭で頻繁に料理する方には、食材のひとつとしても使えるため食費の節約にも一役買うためオススメです!
各地域の厳選された高級なお肉を味わえるので1年を通して大変人気の高い返礼品です。
価格帯も様々なので、他に欲しい返礼品があれば、そちらを優先させて、残りをお肉にするという形でもいいですね。お肉が大好きな方は、各自治体ごとのお肉を食べ比べるという楽しみ方もあり!
フルーツ
食べ物の中では、イチゴやメロン、梨、ぶどうといったフルーツも良いでしょう。
その時期の旬に合わせて特産地から美味しいフルーツが届きます。
また、定期便を利用するというのも良いかと思います。
定期便であれば、1回の寄付で複数回に分けて返礼品を受け取ることができます。
季節に応じた旬のフルーツを1度の寄付で楽しめるのは嬉しいですよね。
お肉と同様に寄付額に応じて様々な種類があります。
食器類(工芸品など)
食べ物と違い、形として残るものであれば食器もおすすめです。
地域の職人さんの想いのつまった食器を使えば、毎日の生活も、より豊かなものになるでしょう。
質の良いものが多く、見ているだけでも職人さんの技が感じられる一級品ばかりです。
使っていくうちに愛着もわいてきますし、長く楽しむことができるでしょう。
オススメのふるさと納税サイト
最後にふるさと納税サイトのオススメを4つ紹介します。
ふるさとチョイス
自治体の掲載数No.1のサイトです。
その数は、なんと1,700以上!
返礼品の数も多く、20万点以上もの中から選ぶことができます。
多くて迷うことはあっても、少なくて迷うことはまずないでしょう。
コンテンツも充実しており、はじめての方でも問題なく利用することができます。
ランキングによって人気の返礼品をすぐに見つけることもできますし、特集などもあるので、共感した自治体を応援するという形でも利用可能です。
さとふる
さとふるは、CMでも有名なので知っている方も多いかと思います。
CMでの影響もあってか、ふるさと納税サイトの認知度はNo.1になっています。
ソフトバンク系列の会社が運営しているサイトでもあり、サポート体制が充実している点も特徴的です。商品の発送が速いというメリットもあり、申し込んだ商品が1週間程度で届くとのことです。
ふるなび
ふるなびは、大手企業が運営しているふるさと納税サイトになります。
寄付額の1%分のAmazonギフト券をもらうことができるというメリットがあります。
1万円のふるさと納税を行うと、100円分のギフト券をもらうことができる計算ですね。
また、大手企業という強みを生かして、以下のような独自サービスを展開しています。
・ふるなびプレミアム:コンシェルジュサービス(年収2,000万円以上の方向け)
・ふるなびクラウドファンディング:応援したいプロジェクトに直接寄付できるサービス
・ふるなびトラベル:大手旅行会社と連携した旅行体験型のサービス
・ふるなび災害支援:災害発生時、支援を必要とする自治体に迅速に寄付できるサービス
電化製品をはじめとする、食べ物以外の掲載数が多い点も嬉しいですね。
2019年7月で、300点以上の商品が存在しています。
楽天ふるさと納税
楽天もふるさと納税サイトを運営しています。
楽天の特徴である楽天スーパーポイントをふるさと納税によって貯めることができます。
通常時には、寄付額の1%のポイント付与率なのですが、ポイント10倍キャンペーンなどによって、大幅にお得に可能性もあります。
仮に10倍キャンペーンであれば、2万円分のふるさと納税を行えば、それだけで自己負担の2,000円は、実質的にタダになりますね。
楽天会員情報を使って、ふるさと納税ができるため、新たに個人情報を入力して登録する必要もなく手軽に始めることができます。