税金

iDeCoって何か説明できる?老後資金を作るなら始めてみよう

老後は2000万円が必要だとか、人生100年時代だとか言われてますね。
みなさん、老後の資金は用意できていますか?

そもそも我々にとってお得といえそうな制度は以下の通り。

  • iDeCo
  • NISA・つみたてNISA
  • ふるさと納税
  • セルフメディケーション税制

NISA・つみたてNISAの違いや、ふるさと納税・セルフメディケーションは追い追い。
今回はiDeCoの具体的な内容について見ていきます。

対象者や運用の方法、メリット・デメリットをまとめました。

概要

まず言葉の解説からですが、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は造語です。

「ideco」という英単語が存在するわけではなく、
「individual-type」+「Defined Contribution pension plan」で「iDeco」となります。

「individual」は個人を意味します。
また、「Defined Contribution pension plan」は確定拠出年金を示しています。

個人が、確定された(決めておいた)金額分のお金を拠出して(支払って)、
のちに年金として受け取ることができる制度ということです。

言い換えれば、今の自分がお金を出して、老後の資金を貯めるための制度です。

大まかな流れとしては、以下の通り。
ポイントは、自分で出したお金を自分で運用するという点ですかね。

毎月の拠出金額を決める
→定期預金や保険、投資信託といった商品を選び購入する
→自分の状況に合わせた運用を行う
(→この時、運用益が出る場合もある)
→60歳以降に年金または一時金として受け取り
※もらう額は、掛け金とその運用益との合計をもとに計算

見ての通り、国民年金や厚生年金といった公的年金とは特徴が異なる年金制度です。
年金制度ではあるのですが、加入は任意であり、加入しなくてもかまいません。

詳細

概要がわかったところで、詳細についても確認していきましょう。

どんな人が利用できるのか

iDeCoの加入者はこれまで自営業者と一部の会社員に限られていました。
しかし、2017年1月からは会社員はもちろん、公務員や主婦も加入可能に。

基本的に20歳以上60歳未満の方なら入ることができます。
ほとんど全ての方が対象と言えそうなのですが、加入できない人もいます。

  • 60歳以上である
  • 海外に住んでいる
  • 国民年金の保険料を納めていない
  • 農業者年金に加入している
  • 企業年金があるが、iDeCoへの加入を認めない会社にいる

年齢については少し詳しく話す必要があります。
上記で述べた通り、60歳未満が加入できるということは、
逆にいえば、「60歳以上」は加入できないことになりますね。

では、20歳以上が加入できるということは、
逆に「20歳未満」(=未成年)は加入不可かというと、そうでもないようです。

未成年であっても厚生年金の加入者であれば、iDecoを利用できます。
厚生年金に加入するには、会社員になる必要があります。
法律上、会社員になれる下限年齢(15歳)以上なら未成年でもiDeCoを利用できます。

いくらまで拠出できるのか

ほぼすべての方が対象とはいえ、それぞれが拠出できる上限金額は異なっています。
表に示すと、以下の通り。(企業型DC:企業型確定拠出年金)

職業限度額(月)
自営業者・学生等68,000円
専業主婦(夫)等23,000円
サラリーマン等
 ①企業型DCなし×確定給付型年金なし23,000円
 ②企業型DCあり×確定給付型年金なし20,000円
 ③企業型DCあり×確定給付型年金あり12,000円
 ④企業型DCなし×確定給付型年金あり12,000円
公務員等12,000円

自営業の方は他の対象者より、かなり多く拠出できることがわかります。

どうやって運用するか

自分に合った老後のための資産形成を行うためには、
運用状況の定期的な見直しが不可欠といえます。

「運用した成績は60歳にならないとわからない。」
一部の記事で、このような文言を見かけましたが、
これは誤りで、運用状況は定期的に確認可能です。

しかし、ただ状況を確認をしたというだけでは不十分です。
年齢や目標、周囲の環境の変化を考慮して運用方法を見直すことが求められます。

難しいようにも聞こえますが、
運用において加入者自身のやるべきことはシンプル。

運用商品を買う
→必要なら商品を入れ替える

これだけです。

「じゃあ運用商品ってどんなのがあるの?」
「入れ替えってどうするの?」
次に、このあたりを説明していきます。

運用商品の種類

商品の種類は大きく、「元本確保型」か、「それ以外」に分けられます。

「元本確保型」は名前の通り、支払った分のお金より少なくならない商品です。
定期預金や保険といった商品が代表例ですね。

元本割れを起こすことがない点においては安心できますが
大きく増やすことはできません。

一方で、「それ以外」については、元本割れする可能性があります。
「元本変動型」や「投資信託」と言う場合もありますが、
ほぼ同じものであると考えて問題ありません。

ちなみに、「投資信託」とは、投資家からお金を集め、
そのお金を専門家が代表して運用して、利益を分け合う商品のことです。

「それ以外」の部分には、様々な種類があります。

  • 国内・海外株式
  • 国内・海外債券
  • 国内・海外REIT(リート)
  • コモディティ
  • バランス型
  • ターゲットイヤー型

耳慣れない言葉がいくつか出てきましたね。
株式や債券は聞いたことがあるとして、
他のものについて簡単に。

REIT(リート):不動産に関連する投資信託。
コモディティ:ガソリンや金などの商品に関連する投資信託。
バランス型:国内・海外の株式・債券を組み合わせた投資信託。
ターゲットイヤー型:特定の年に応じて運用商品が変わる投資信託。

完全にほったらかしにしたい方にオススメなのは、ターゲットイヤー型です。
自分の年齢に応じて、運用商品を自動的に変化させてくれるためです。

ターゲットイヤー型は、60歳に近づくにつれて安定的な運用をしてくれますが
その分、利益が少なめになってしまうデメリットもあります。

ある程度は自分で運用できそうであれば、最初のうちは
バランス型が個人的には最も良いと考えています。

運用術

運用商品にどのようなものがあるかは理解していただけたかと思います。
しかし、自分に合った運用商品を見極めて購入するだけで終わりではありません。

時には運用状況に応じて、持ってる商品の購入比率を変えたい場合もありますよね。
また、買いたい商品そのものが変わる可能性もあります。
このように運用を変更する方法には、大きく2つのやり方が存在します。

配分変更

配分変更は、これから購入する商品の種類や数量・割合を変更することです。

「海外の商品はリスクが高そうだから国内の商品にしたい」
「株式よりも債券の方が安定しているから、債券を多めに買いたい」

上記の場合などが例となります。

手数料もかかりませんので、何度でも変更することができます。
ただ、あまり頻繁に変更することは、
自分のプランが揺らいでいるということにつながります。

よって、頻繁な配分変更をするのではなく、
明確にプランを決める方が賢いでしょう。

配分変更の重要な特徴は、「これから」購入する商品に対しての変更であることです。すでに保有している商品は、そのままにして、今後の掛け金をどうするかを決定します。

スイッチング

スイッチングは、これまで購入してきた商品の構成を変更することです。

例えば、

商品A:5万円[50%]
商品B:3万円[30%]
商品C:2万円[20%]

という具合で、商品を持っていたとしましょう。

ここで、商品Cではなく、商品Dを保有しておきたいと考えたとします。
しかし、商品Cは既に購入済で、現在持っている商品です。

これまでの掛け金で購入してしまったわけですが、
「やっぱり商品Dがいい!」という場合に、

商品A:5万円[50%]
商品B:3万円[30%]
商品C:0万円[ 0%]
商品D:2万円[20%]

こうしても良いですよ、ということです。

スイッチングの重要な特徴は、「これまで」購入してきた商品に対しての変更であることです。これからの購入商品については、そのままにして、現在の商品構成をどうするかを決定します。

配分変更は「これから」の商品に対してであり、
スイッチングは「これまで」の商品に対してであると考えれば簡単です。

いつ受け取れるか

原則として60歳~70歳までの間であれば、
自分の好きな時に受け取ることが可能です。

ただし、通算の加入期間によって、
受取可能な年齢の下限は、以下の通り決まっています。

受取可能な下限の年齢:加入期間
満60歳:10年以上
満61歳:1カ月以上2年未満
満62歳:2年以上4年未満
満63歳:4年以上6年未満
満64歳:6年以上8年未満
満65歳:8年以上10年未満

仮に、自分(加入者)が亡くなった場合には、
亡くなった時点で遺族が受け取ることになります。

また、一括でもらうか、分割でもらうかも選択可能です。
一括の場合を「年金受取」、分割の場合を「一時金受取」とも言います。

受け取りについては、かなり柔軟に選ぶことができ、
一括と分割を組み合わせることもできます。

分割の場合には、分割の回数等も決められた範囲で
自分の好きなように選ぶことも可能です。

メリット

ここまでで、iDeCoについての理解がかなり深まったかと思います。
メリット・デメリットを改めて整理してみましょう。

掛け金がすべて所得控除される

毎月の掛け金は、すべて自分の所得から控除されます。

掛け金:年間24万円(毎月2万円)
年収 :330万円~695万円

このような方であれば、7.2万円もの税金を浮かせることが可能。

ちなみに、7.2万円を浮かせられるとはどういうことなのでしょうか。

仮に、この年間24万円をiDeCoではなく、普通の株式投資にあてたとすると
まるまる24万円の出費となります。

「24万円を支払って、24万円分の投資ができる」
これは理解できると思います。

iDeCoを使えば、我々が支払う分は
16.8万円(24万円-7.2万円)で済むということです。

言い換えれば、
「16.8万円を支払って、24万円の投資ができる」ということですね。

運用益が非課税になる

こちらも、普通に投資した場合と比較してみると
わかりやすいかもしれません。

100万円分の投資をして、20万円の運用益が出たとしましょう。
しかし、この20万円から、さらに税金が引かれます。

通常、株式投資にかかる税率が20.315%ですので、
4万円程度(20万円×20.315%)は我々の手元には入ってきません。

iDeCoであれば、この4万円分も税金として
受け取ることができるというわけです。

受け取り時にも節税できる

日本は至るところで税金を確保しようとしています。
退職金や年金にも、税金がかかることを知っていましたか?

何かしらの形でお金を受け取る場合には
ほとんど全てといって良いほど税金がかかりますが、
iDeCoは、ここでも節税のメリットを発揮します。

一時金での受け取り

一時金の場合、退職所得控除を受けることができます。
金額については、iDeCoの加入年数により計算でき、

加入年数が20年以下:40万円×加入年数※
加入年数が20年超 :800万円 + 70万円 × (加入年数 - 20年)
※80万円未満なら80万円

となっています。

加入年数が15年なら、 600万円(40万円×20年)、
加入年数が25年なら、1150万円(800万円+70万円×5年)といった具合です。

年金での受け取り

年金での受け取りの場合、公的年金控除を受けることができます。
控除額ですが、計算方法が少し複雑になっています。

[65歳未満]
収入が130万円未満:70万円
収入が130万円~410万円未満:収入額×25%+37.5万円
収入が410万円~770万円未満:収入額×15%+78.5万円
収入が770万円以上:収入額×5%+155.5万円

[65歳以上]
収入が330万円未満:120万円
収入が330万円以降は、65未満の場合と同じ

最低でも70万円の控除を受けることができるうえ、
控除は毎年続くため、全体の控除額は大きくなりメリットも大きいことがわかります。

デメリット

メリットがあれば、デメリットもいくつか存在します。

60歳まで引き出せない

iDeCoは老後の資産を形成するための仕組みです。
そのため、60歳になるまで解約することは原則として認められていません。

自由に解約できないということは、デメリットではありますが
その強制力がメリットになることもあります。

あればあるだけ使ってしまう人にとっては、
むしろ、ありがたい特徴かもしれませんね。

様々な手数料がかかる

iDeCoに関連する手数料は、5種類あります。

手数料の名称:タイミング[金額]
加入時・移換時手数料:iDeCo加入時に1度のみ発生[2,777円]
口座管理手数料:毎年[年間2,004円+運営管理機関ごとの手数料]
給付事務手数料:受取時1回毎[432円]
還付事務手数料:掛金還付時1回毎[1461円+運営管理機関ごとの手数料]
信託報酬:投資信託の保有中に毎年[拠出額×0.1%~2.0%の間が多い]

「運営管理機関」という言葉が登場しましたが、
これは我々のような加入者が商品を選んだり投資したりする際の金融機関のことです。

のちほど紹介しますが、楽天やSBI証券が該当します。

運営管理機関によって手数料はバラバラなので、
自分に合った期間を選ぶ必要があります。

受け取り額が確定しない

公的な年金では、事前に得られる金額は確定していることが多いのですが
iDeCoは運用状況によって受け取り額が60歳まで変動し続けます。

受け取る寸前で金融危機が発生して、
元本割れする可能性もないとは言い切れません。

代表的なリスクとしては、

価格変動リスク:株式価格等の変動によるリスク
金利変動リスク:金利の変動によるリスク
為替変動リスク:円と海外の為替相場の変動によるリスク
信用リスク:国や企業の財政難・経営不振によるリスク
インフレリスク:物価上昇によるリスク

上記のようなリスクが挙げられます。
iDeCoに限らず、投資をする際には注意が必要なリスクです。

無理のない範囲で、始めてみるのが得策でしょう。

オススメの運営管理機関

記事のはじめで、大まかな流れとして

毎月の拠出金額を決める
→定期預金や保険、投資信託といった商品を選び購入する
→自分の状況に合わせた運用を行う
(→この時、運用益が出る場合もある)
→60歳以降に年金または一時金として受け取り

上記の通りであると説明しました。

ここまで読んできた皆さんなら、
それぞれの流れを、ある程度イメージできたのではないでしょうか。

ただ、まだこのような疑問が残っているかと思います。

「準備とかいらないの?」
「商品を買うって言ってもどこで?」
「始めようと思うんだけど、何から手を付けたらいいの?」

結論から言うと、まずはじめにやることは、
iDeCoのための口座の開設です。

iDecoで商品を購入する時には、ネットから購入することになるわけですが、
「現金払いで!」とか、「クレジットカードで!」とはいきません。

専用の口座を作り、その口座に自分のお金を振り込み(引き落し口座の指定等はできます)、振り込んだ額の範囲で商品を選び、運用します。

なので、まずは口座の開設、さらに前の段階でいえば口座申込の手続きをしましょう。

オススメの口座(運営管理機関)を3つご紹介します。

楽天証券

楽天証券は、海外株式に関連する商品に優れています。
なかでも、「楽天全世界株バンガード楽天DC」という商品がとても優秀。

ちなみに、楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))という商品も名前が違うだけで同じ商品です。

投資の基本は、分散投資です。
種類の異なる商品に投資することで、その分リスクは小さくなります。

この商品は、各国に存在する大小さまざまな企業の株式に投資します。
その数はなんと7,400企業にも及びます。

楽天を選ぶなら、この商品だけで運用するという形でも全く問題ありません。

また、アップルやアマゾン、フェイスブックといった
有名企業にも投資している「楽天全米株式バンガード楽天DC」も同様にオススメ!
デメリットの部分で少し触れた「信託報酬」が、安い点も魅力です。

楽天銀行からの引き落としにすることでポイントが貯まる等のメリットもあります。楽天ユーザーであれば、楽天証券で間違いないと思います。

SBI証券

SBI証券は、圧倒的に取り扱い商品が豊富です。
楽天証券と比較すると、倍以上の差があります。

そして、iDeCoを始めたばかりの人にとって嬉しいのは、
ロボアドバイザーが、自分に合った運用を無料で提案してくれるということです。
右も左もわからない初心者にとっては、とても助かりますよね。

SBI証券にも世界各国の企業へ投資できる「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」という商品があります。「eMAXIS Slim」シリーズは信託報酬(手数料)が安く魅力的。

iDeCo加入者が多いという特徴もあり、2017年12月末には業界第1位になったというお知らせもありました。

SBI証券には、「オリジナルプラン」と「セレクトプラン」というプランがあり、利用者は片方のプランを選択する必要があります。
個人的には、信託報酬が比較的安い「セレクトプラン」をオススメします。
プランの変更は可能ですが、同時に2つのプランの利用はできません。

マネックス証券

マネックス証券は、低コストな商品ラインナップが特徴的で、
SBI証券と同様に「eMAXIS Slim」シリーズも存在しています。

商品の数は、そこまで多くはありませんが、
厳選された商品の中から選ぶことができます。

また、運用サポートが充実していることもメリットとして挙げられます。

ロボアドバイザーによるプランの提案だけではなく、
iDeCo専門のスタッフが平日はもちろん、土曜日にも対応してくれます。

顧客満足度が高い点も大きなポイントです。
アンケートによると、サービスに満足した方は94.5%、
周囲にもオススメしたいという方は88.8%という結果だったようです。

まとめ

いかがだったでしょうか。
iDeCoの概要から、対象者・運用方法・受け取り方法、
メリット・デメリット等を見ていきました。

わかりにくい点や不明な点があれば、コメント欄はもちろん、
SNSでも回答しますので、お気軽にどうぞ!